Skip to content

第7回 ミニレクチャー

『日本における「私」の姿』(左右社)を読む②

 特別ミニレクチャー:ギーゲリッヒ著『個人と集合の対立ー心理学の基本的欠陥』を読む

 講 師:猪股剛(ユング派分析家、日本橋分析プラクシス)

 日 時:2024年11月18日(月) 19:00-20:30

 場 所:オンライン(ウェビナー形式)

 参加費:1000円

 申込方法:下記のPeatixサイトから、お申し込みください。

 https://analyticalpsychologyclub1.peatix.com

 

 概 要:

 今回は特別に猪股剛先生(ユング派分析家、日本橋分析プラクシス)をお招きして、

 『日本における「私」の姿』(左右社)所収のギーゲリッヒの論文

 『個人と集合の対立ー心理学の基本的欠陥』に関するミニレクチャーを開催します。

 前半で概要を説明したのち、後半はクラブメンバーや参加者から質問を受け付けます。

 この論文はなかなかの問題作で、当時は大きな議論を巻き起こしたのではないでしょうか。

 論文後半はモーゲンソン先生への返信という形で論が進みます。

 心理療法を実践していると、クライアントの心の中の出来事が、本質的で人類普遍の現象のように思われることがあります。

一方で、社会では心理職が国家資格化され、心理士の業務として助言や指導が求められ、じっくりと時間をかける心理療法の機会は減少しつつあるように思います。

 世界中で個人の権利が侵害される事態も多数起きていますが、そもそも人類の歴史を見ると「個人」というものは軽視されてきました。これに対して、当然、心理療法を実践している私たちは、「これは心理療法的ではない」と感じ、対立したくなることもあります。

 一見すると個人と集合は対立しますが、本論文でギーゲリッヒは、この対立構造が誤りであることを指摘しています。そして、現代社会で起きている「個人」というものを軽視する傾向にこそ、現代の魂を見ています。

 この論の中で、心理療法はオプスパルヴゥム(小さき作業)であることが論じられています。本論を読み進めていくと、だんだん心理療法への脱錯覚が生じてきて、つらい部分もあります。

 ですが、最後まで読むと、錯覚ではなく、リアルに今ここにいる私と、現代の魂という大きな流れとの関係が見えるように思います。

 この論文の後半、珍しくギーゲリッヒは自己開示的で、心を揺さぶるような文章になっていますが、これはモーゲンソン先生の問いかけへの返信として書かれているからかもしれません。

 ご紹介が長くなってしまいましたが、相談室で一人一人に出会うことと、現代の魂と作業することの関係や差異について学ぶ貴重な機会だと思います。 

 ふるってご参加ください。