第22回ミニレクチャー:
「現代の身体性と依代論について」
講 師:長堀加奈子
日 時:2026年5月25日(月) 19:00-20:30
場 所:オンライン
概要:
ギリシア語で「魂」を指すpsyche(プシュケー)が元来「呼吸」を意味し、漢字の「心」が心臓の形に由来するように、かつて心と身体は分かちがたく結びついていました。私たちは今も「腹を割る」「胸に刻む」といった表現を通じ、身体感覚を介して心を捉えています。
しかし現代、写真加工や美容整形といったテクノロジーは、身体を「自らの意志で加工可能な物質(モノ)」へと変容させました。ユング派心理学者のヴォルフガング・ギーゲリッヒは、現代における魂のありかは、もはや生身の身体ではなく、こうしたテクノロジーそのものにあると指摘しています。
一方で、私たち日本人は古来、目に見えない神霊が一時的に宿る「依代(よりしろ)」という概念を、モノや身体の中に見出してきました。依代という「モノ」がなければ、魂はこの世に現れることができないのです。
本レクチャーでは、現代の若者による身体の「モノ化」や装飾を、単なる個人の欲望や社会適応の工夫ではなく、現代的な「魂の依代」を再構築しようとする試みとして捉え直します。当日は、3Dペン等の技術を駆使しながら身体と向き合うアーティスト・津野青嵐氏の作品を紹介しながら、変容する現代の身体性と依代論の接点について、皆さんと議論を深めたいと思います。